浜崎あゆみの大恋愛物語、小説「M 愛すべき人がいて」小松成美著の書評

M愛すべき人がいて

浜崎あゆみさんの事実に基づくフィクション

浜崎あゆみさんの事実に基づいたフィクションである等身大の大恋愛小説、「M 愛すべき人がいて」小松成美著( @komatsu_narumi )を読んだ感想を述べたい。小説の細かな内容については触れないので、是非手にとって読んでみて欲しい。

注意
以下には小説を読んだ感想が記載されていますが、ネタバレはしておりません。一部見出しに引用がありますが、最低限に留めています。内容の詳細についてはお手にとってご確認ください。

命がけで人を好きになって、全知全能の限りを尽くして努力する事ができるだろうか。若き日に一人の男性を好きになって、夢に向かって前に、ただひたすらにがむしゃらに突き進んでいったアーティスト、それが浜崎あゆみなのだ。

歌詞は自分自身の経験だった

浜崎あゆみさんの歌はどれも若き日の自分の胸に響いた。2ndアルバムLOVEppearsは発売日に手に取った記憶がある。まだ学生だったので、なけなしの小遣いで1stアルバムA song for XXも手に取った。Boys & Girlsはとても格好いい曲。これが浜崎あゆみとmax matsuura氏のことだったのか(本書より)。これを歌っていた浜崎あゆみさんは輝きしかなった。チャートインして他のどのアーティストよりも輝いていた。その背景には、これほどの熱量の想いがあったのか。とても苦しい別れがあったのか。叶えたくても叶えられない願いがあったのか。

ゴールなきレースを戦う”戦士”

人を好きになるということ。人によっては生きるか死ぬかに関わる。あるいはまた、実際命を落とす人もいる。恋愛はときとして人生の戦いである。そして、悲観的な側面でみれば、とても儚きことに違いない。それなのに、一直線に、まっしぐらに好きな人のために命をかけて努力できるか。それ自体が類い希なことで、それを貫いてきた人が浜崎あゆみというアーティストなのだ。

恋愛に勝るパワーはない

本書を読めば、恋愛のパワーがどれほどのものだったかよくわかる。一人で抱えた、相手への想い、それがアーティスト浜崎あゆみのすべての原動力だった。本人はもとより、プロデューサーにも操舵不能な『モンスター(本文の表現)』に育つほど、人々の胸を打った。特に同世代、10代の少女達のカリスマになるほどに。一人一人、全く違う人生を歩む道程で、壊れるほどの想いを寄せる相手というのは、誰の胸のなかにも芽生えるものだろう。浜崎あゆみは恋い焦がれるゴールなきレースを戦う戦士らの代弁者だった。叶えたいけれども叶えられない想い達、すべて歌に託して我々は若き日を謡い、彩りを添えた。

歌手としての最高のスタートに立ちながら、私は夢に破れた敗者だった。


appearsを歌う浜崎あゆみは歌姫でもディーバでもなく、恋に破れた等身大の一人の女性だった。それこそが人々の胸を打ったのだ。
浜崎あゆみはアーティストとしての華々しい成功の裏で、恋という夢に破れていた。歌詞をみれば、知らずとも伝わってくるものがある。あるいはそれは抽象的な物語として、客観的に失恋を表現したものとも受け取れるかもしれない。また、あるいはそれぞれ聴き手の状況に合わせて、抽象的な部分が自分のことのように響くものがあるに違いない。

ある一人の男性へのラブレター

本書は、実は歌詞のすべてが、歌う想いの全てが、ある一人の男性へのラブレターだった事を赤裸々に明かしている。(事実に基づいたフィクションとして。)
本書を読めば、poker face、YOU、Depend on you、A Song for XX、といった曲たちに、命がけで恋をする具体的な女性の実在が浮かんでくる。14thシングル『vogue』、15thシングル『Far away』、16thシングル『SEASONS』の失恋の三部作、悲しい歌たちが、色鮮やかに一人の女性の心を映し出している。またそれらは、すべての大切な想いを抱く人達の共通の想いでもある。

『もしも誰かに「今回の人生で一生に一度きりだと思えるほどの大恋愛をしましたか?」と問われたら私は何の迷いもなくこう答えるだろう。
「はい。自分の身を滅ぼすほど、ひとりの男性を愛しました。」と。

浜崎あゆみ


命がけの大恋愛を歌に託した女性、それが浜崎あゆみという実在なのだ。力の限り今日まで歌ってきた浜崎あゆみという人物に敬意を表したい。

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