この本の対象は?
この本、齋藤孝先生の『誰でも書ける最高の読書感想文』 は、主に学生向け、特に中学生高校生へ向けた内容となっている。無論、小学生でももちろん役に立つが、この本を読破する小学生は相当レベルが高い。もし小学生で本書を読んで読書感想文を書く事になれば、30人学級でもトップレベルの読書感想となろう。それぐらいの武器になる本である。
実は社会人にも必須のスキル
読解して人に伝える、それは社会に出てからもずっと続く。そしてその能力こそが成功するか否かの重大な分かれ目となろう。学びなおしの社会人必携の書ともいえるだろう。
読書後のアウトプットこそが成長のカギ
私は読んだ本をどんな内容だったか、人に紹介するためにアウトプットすることを重点として読書しているが、そもそも読書感想って何だろう、と思い本書を手にとった。タイトル買いだったので、内容は知らなかったが、著者はですます調からである調、あるいは語りかけるように丁寧に読書感想について記述している。一見、小学生と会話するような感じなので、読み始めは違和感を覚えた。大人がこれを読んでいていいのかと。ただ、子供に読書感想文の書き方を教えるためにこれ以上優れた本はないだろう。大人が子供に読書感想文をどやって書くのかを教えるためのある意味、学習指導要領的な存在感がある。
ザル読みしないために
ともあれ、大人だろうが学生だろうが、よくあるのは、本の内容を訊かれたときに、内容が語れないことだ。思い出すきっかけがなければ、読んだからといってもなかなか内容を語るのは難しい。そして内容を語れないものは忘却していくだけ。まさにザル読みである。たとえば、1度読んだだけで感想も書かずに、1年後本の内容を覚えているだろうか、そんな人はいないだろう。読んだ直後に感想をいえないのに、1年後語れるだろうか。だからこそ、アウトプットが大切なのである。
読書感想文の書き方(樺チャンネル)
ミッション意識を持つ~It’s so easy
読書感想文が好きという学生はよし、やるぞ!と決めてかかれば、すらすら書けるものだ。私の体験をかけば、小学生のとき、それはそれはやる気が出なくてクラスで一番怠けていた。中学生になったときも嫌で嫌でたまらなかった。それでも親にアドバイスをもらいながら、自分の書きたい事、自分の体験を書いた読書感想文がクラス最高点だったときは嬉しかった。親が優秀でなければ一発アウトであるが、アドバイスが親ではなくて、齋藤孝先生直伝のアドバイスとなるのが本書である。正直、この本が中学生の私に手渡されていれば無敵だった。
筆が止まっても“It’s so easy”でいこう。
やらされている感は捨てよう。これは鉄則になる。イヤイヤやっているうちは全く書けない。よし、やるぞ!と使命感で始めれば、途端に筆が動き出すものだ。できるできる!やれるやれる!こんなの簡単さ!と気持ちを軽く筆を走らせること、これはどんな物書きでも必携のコツである。書き始めれば意外と書けるものである。(蛇足だが心理学用語で行動活性化ともいう)
的確に伝えられるようになる
大人になって仕事をするようになると、自分の思ったことを人に伝える力が必要となる。仕事というのは指示されたことができるだけではダメだ。仕事の本当の意味を的確に把握して与えられた仕事以上の成果を出していく。そのために一番重要なのはコミュニケーション能力だ。
“つまり、自分の感じたこと、思ったことをきちんと言葉にして人に伝える能力がとても重要になっているのです”
第1章きみにも「最高の読書感想文」が書ける! きっかけの船には喜んで乗ってみる
読書感想は大変なミッションかも知れない。しかし、大人になれば毎日が自分の思いを言葉にして伝える「思考のトレーニング」だ。怠らずに取り組めば、必ず優秀な人材として認められるに違いない。
だから、キツイけれど、楽しんで書く。自分のベストを尽くす。それが習慣化された人はとても強い。
話せば書ける
「何をかいたらいいかわかならい」というが、私もそうだった。しかし、本を読んで、感じることが何もない、何も思わない、なんていう人はいないはずだ。言葉として表現できないだけである。そのときは「人に話す」といいだろう。自分の心が動いたところをピックアップして「感想を人に伝える」。
例えば、面白いテレビ番組を観て次の日に友達に話して盛り上がる。そんな経験は誰にでもある。それができれば本を読んで感想を書くのも同じだ。
本を読むときにはいつも「これを人に伝えよう」と思って読む。読んだらその本のことを人に話してみる。
第2章 もう悩まない!スラスラ書けるようになる方法 話せばかける
書きたいことは三つにしぼる
これはよくいわれていることで、三つの気付きを得て実行していくことにも応用できる。10個や20個あってもなかなか実行できない。
三つにしぼりこむことは、文章が散漫にならないための大事な方法です。
短い感想文でも、長く書くときでも、書きたいこと、伝えたいことは三つにしぼりこむ。そうすればピリッとしたこのになる。これ、スピーチなど、話をするときの鉄則でもあります。第2章 もう悩まない!スラスラ書けるようになる方法 書きたいことは三つにしぼる
まず大きな柱を三本決めて、そこから枝分かれさせていくと、伝えたいことがブレない。いろいろな応用が利く。
これは本書における最大のポイントではないだろうか。感想を3つほど人に話してみる。そしてその3点から話を連想させていく。読書感想文の書き方を学校の先生に教えを請うたところで、これを教えてくれる先生はなかなかいないのではないか。しかし、一番重要なポイントである。
本を読んだとき、気付きは3つではおさまらないことはよくある。しかし、敢えて三つ選ぶ。私もなかなかできていないところであるが、今後訓練していきたいところである。
全4章の本書のうち、具体的な方法論ではなく、マインド、心持ちに近いところを紹介した。なぜなら人に伝えるうえで、読書感想ではなくても様々なことに応用ができるからである。
そして実際に読書感想文の書き方を具体的に知りたい方は、是非本書を手に取って読んでみて欲しい。実際の読書感想文の作品の引用も多々あり、素晴らしい気付きが得られるだろう。
誰でも書ける最高の読書感想文
齋藤 孝 (著)
本書で紹介されている読書感想文の題材
かなりの数になっていて全部を読書感想文にしたら全国トップレベルの秀才になれそうである。なお、私がこの中で面白そう、絶対に読もうと思ったのは、
『この世でいちばん大事な「カネ」の話』である。
登場順で掲載しているので、本書を読了した方は、作文用紙傍ら是非読書に挑戦してみて欲しい。
金子みすゞ 私と小鳥と鈴と
芥川龍之介 羅生門
あさのあつこ バッテリー
重松清 エイジ (新潮文庫)
山田詠美 ぼくは勉強ができない
林尹夫(はやしただお) わがいのち月明に燃ゆ
太宰 治 走れメロス
三島由紀夫 金閣寺
ヘミングウェイ 老人と海(福田恆存訳新潮文庫)
カフカ 変身
植村直己 青春を山に賭けて(文春文庫)
星野道夫 旅をする木
西原理恵子 この世でいちばん大事な「カネ」の話
村上春樹 ノルウェイの森(講談社文庫)
灰谷健次郎 兎の眼(角川文庫)
テリー・ケイ著 白い犬とワルツを(兼武進訳・新潮文庫)
ソポクレス ギリシャ悲劇の代表作 オイディプス王
遠藤周作 海と毒薬(角川文庫)
金正美著 しがまっこ溶けた 詩人桜井哲夫との歳月(NHK出版)
竹内俊晴 ことばがひらかれるとき(ちくま文庫)
宮本常一 忘れられた日本人(岩波文庫)
井伏鱒二 黒い雨(新潮文庫)
ダニエル・キース アルジャーノンに花束を
中谷宇吉郎エッセイ集 雪は天からの手紙
アゴタ・クリストフ 悪童日記
米原万里 不実な美女か貞淑な醜女か(新調文庫)
米原万里 終生ヒトのオスは飼わず(文春文庫)
米原万里 嘘つきアーニャの真っ赤な真実(角川文庫)
ヴィクトール・E・フランクル 夜と霧(みすず書房)
ヴィクトール・E・フランクル それでも人生にイエスと言う(春秋社)
カント 永遠平和のために
サン=テグジュペリ 人間の土地
鈴木孝夫 ことばと文化
太宰治 斜陽
天童荒太 包帯クラブ
中原中也 中原中也詩集 (大岡昇平編)
村井吉敬 エビと日本人IIー暮らしのなかのグローバル化
孔子 論語
万葉集
モンゴメリー 赤毛のアン
白鯨
ドストエフスキー 罪と罰
はらだみずき サッカーボーイズ
佐藤多佳子 一瞬の風になれ
誉田哲也 武士道シックスティーン
佐渡裕 『 僕はいかにして指揮者になったのか』( 新潮文庫)
神舘和典『上原 ひろみ サマーレインの彼方』(幻冬舎文庫)
陳 昌鉉( 鬼塚忠・岡山徹)海峡を渡るバイオリン (河出文庫)
ジュール・ヴェルヌ 著『 海底二万海里』
H・G・ウェルズ 著『 タイムマシン』
ル = グウィン 著『 ゲド戦記』(岩波少年文庫)
トマス・ブルフィンチ 著『 完訳 ギリシア・ローマ 神話』( 角 川 文庫)
小川洋子『 心と響き合う読書案内』( PHP 新書)
金原瑞人監修『 12歳からの読書案内』(すばる舎)
松田哲夫 「王様のブランチ」のブックガイド200 (小学館101新書)
夏目漱石『 夢十夜』
芥川 龍 之 介『河童』『鼻』
太宰治『 新樹の言葉 』
志賀直哉『 清兵衛と瓢簞』『小僧の神様』
坂口安吾『 桜の森の満開の下』
川端康成 伊豆の踊子
スタインベック ハツカネズミと人間(新調文庫)
O・ヘンリ短編集
シェイクスピア 【ハムレット】【マクベス】
森見登美彦 【走れメロス 他四篇(祥伝社)】
森見登美彦 『夜は短し歩けよ乙女』(角川文庫)
小林秀雄『 考えるヒント 』
辺見庸 もの食う人びと
宮本常一 ふるさとの生活
ファラデー ロウソクの科学
板倉聖宣 ぼくらはガリレオ
岡本太郎 自分の中に毒を持て
夢をつかむイチロー262のメッセージ
古代への情熱-シュリーマン自伝
井上靖 天平の甍(いらか)(新調文庫)
ジャック・ロンドン 野生の叫び声
サン=テグジュペリ 星の王子さま